看護師の給料はなぜ安い?辞めずに年収を上げる3つの方法

「夜勤と残業、休憩もまともに取れないこの忙しさ。それなのに給料はこれだけ?」と感じたこと、看護師なら一度はあるのではないでしょうか。

私自身も急性期病院で働いていた頃、給与明細を見ながら「こんなに忙しいのに、これだけなのか」と感じていました。看護師の給料は同年代の平均よりも高めとされる場合もありますが、業務の大変さに見合っているとは言い切れません。さらに、年数を重ねても昇給幅が小さいという懸念もあります。実際、当時の転職を考えた理由のひとつには「給与面への不安」もありました。

ただ、「給料が安い=今すぐ辞めるしかない」ではありません。看護師の資格を活かして、年収を上げる方法はいくつかあります。

この記事では、現役の管理職看護師の立場から、次の4つをお伝えします。

  • 看護師の給料相場(自分の給料が安いのか確認できる)
  • 「給料が安い」と感じる5つの理由
  • 辞めずに年収を上げる3つの方法
  • それでも限界を感じたときの転職という選択肢

「もっと稼ぎたいけど、どう動けばいいか分からない」という方の、判断材料になれば嬉しいです。

▼「やめたいと感じる瞬間」を広く知りたい方はこちら
[内部リンク:看護師をやめたいと感じる7つの瞬間|辞める前に試したい選択肢]

まず知っておきたい看護師の給料相場

「自分の給料は安いのか、それとも相場通りなのか」――まずは客観的な数字で確認してみましょう。

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(2025年調査)」によると、看護師の平均年収は524万7,200円です。

  • 平均月給:36万6,000円
  • 平均賞与(年間):85万6,000円
  • 平均年齢:42.1歳
  • 手取り年収の目安:約394万〜420万円

年代別の平均年収

年代 平均年収
20〜24歳 約440万円
25〜29歳 約501万円
30〜34歳 約491万円
35〜39歳 約519万円
40〜44歳 約548万円
45〜49歳 約561万円
50〜54歳 約578万円(ピーク)
55〜59歳 約574万円
60〜64歳 約503万円

50代前半でピークを迎え、60代以降は減少傾向にあります。これは定年退職後の再雇用や、嘱託職員・パート勤務など勤務形態の変化が影響しています。

これらの数字を見ると、看護師の給料は同年代の平均よりも高い水準にあると分かります。とはいえ「数字が高い」だけで仕事の価値を判断する必要はありません。

業務の大変さに見合っているのか、自分のライフプランに合っているのか――そういった視点で「自分にとっての安さ」を整理することが大切です。

看護師の給料が「安い」と感じる5つの理由

「データ上は平均より高い」と分かっていても、現場で働いていると「安い」と感じてしまう。それには、きちんとした理由があります。

① 業務量・責任の重さに見合わない

看護師の仕事は、ひとつの業務が終わる前に次が押し寄せる構造になっています。

バイタルサイン測定・点滴・与薬・記録に加え、頻回なナースコール対応、転倒リスクの高い患者のセンサー反応、緊急入院の受け入れ、検査出しや検査戻り後の状態確認等——これらが同時並行で続きます。多重課題を当たり前にこなしているにもかかわらず、それが給料に反映されることはほとんどありません。

さらに見落とされがちなのが「前残業」です。日勤開始の30分〜1時間前に出勤して情報収集するのは、多くの病院で当たり前の光景です。ところが、調査では6割以上の病院がこの前残業を時間外労働として扱っていないというデータがあります(日看協調査)。月単位で積み上げると、無償で働いている時間はかなりの量になるはずです。

「給料が安い」というより、「正当に払われていない部分がある」と言ったほうが正確かもしれません。

後残業(終業後の残業)については、出る職場と出ない職場でかなり差があります。きちんと支払われている職場も確かにあります。

ただ、「申請しにくい雰囲気がある」「サービス残業が当たり前になっている」という声は、現場では広く共通する感覚です。上が見て見ぬふりをしている職場では、申請すること自体がはばかられる空気になりやすい。

また、15分・30分単位での切り捨てにより、働いた分が正確に反映されないケースも少なくありません。①で触れた前残業と合わせると、月単位では相当な無償労働が積み上がっている可能性があります。

「残業代が出るかどうか」は職場次第です。ただ、「申請できる環境かどうか」は別問題——そこが、看護師の給料問題の根深いところです。

③ 昇給が緩やかで、気づいたら追い抜かれている

新卒から数年は、他職種と比べて収入が高く感じる時期があります。夜勤手当や各種手当が乗るため、20代のうちは「看護師は稼げる」という感覚が持てることも多い。

ところが、30代以降の昇給はほぼ横ばいです。基本給の伸びが小さいため、年次を重ねても給与は大きく変わりません。一方で他職種の同期は年功給や昇進によって収入が上がり続け、気づいたときには逆転されていることがあります。

しかも、看護師の年収を支えているのは基本給ではなく、夜勤手当や残業代といった所定外給与です。夜勤をやめた瞬間に収入が一気に下がるという構造的な問題もあります。

「最初は高かったのに、いつの間にか割に合わなくなっていた」——そう感じるのは、当然でしょう。

④ 夜勤手当が体の負担に見合わない

日本看護協会の2025年度調査によると、夜勤手当の全国平均は2交代で1回11,286円、3交代の深夜勤で5,490円です。月6回こなしても、手当の合計は6〜7万円ほどです。

夜勤は単に「夜働く」だけではありません。睡眠リズムの乱れ、翌日への疲労の持ち越し、夜間の急変対応や緊急入院の受け入れ——これだけの負荷を背負って得られる手当として、納得できるかどうかは別の話です。

「数字が低い」というより、「負担と手当が釣り合っていない」という感覚が正直なところではないでしょうか。

⑤ 「高い」のは手当込みの数字

先ほど紹介した524万という平均年収は、夜勤手当・残業代を含んだ数字です。基本給に絞ると、新卒で21〜22万円、勤続10年の非管理職でも25万円台(日看協2025年度調査)にとどまります。

前述した平均年収524万は同年代より高い水準でしたが、それは夜勤手当込みの数字です。基本給だけに絞ると同年代の他職種と大差なく、夜勤から外れた途端に逆転される可能性もあります。

「給料が高い職業」というイメージと、毎月の手取りへの感覚がどうしてもかみ合わない。その理由が、ここにあります。

辞めずに年収を上げる3つの方法

「安いと感じる理由」が分かったところで、今の職場を辞めずに収入を上げる方法を紹介します。現実的に使える方法は3つです。

① 夜勤回数を増やす・夜勤専従に切り替える

夜勤手当は1回あたり平均1万円前後(2交代制)。回数を増やすだけで月の収入は確実に変わります。ただ、病院勤務では夜勤回数を自分で自由に増やせないケースも多い。

そこで選択肢のひとつが夜勤専従です。日勤をなくし夜勤だけに絞る働き方で、月の出勤回数は少なくても手当が積み上がるため、収入効率が上がります。体力的に続けられるなら、試す価値はある働き方です。

夜勤専従の求人は常勤・非常勤どちらにもあるため、今の職場に制度があるか確認するところから始めてみましょう。

② 役職に就く(主任・師長)

役職手当の相場は、主任で月1〜2万円、師長で月4〜5万円程度です。師長まで上がれば年収ベースで50〜60万円の上乗せになりますが、主任どまりだと年12〜24万円増にとどまります。

責任範囲が広がり、スタッフ管理・病棟運営・書類対応など業務の種類も増えることを考えると、割に合うかどうかは正直なところ人によります。

「収入を上げたい」だけを目的に役職を目指すより、「マネジメントに興味がある」「キャリアの幅を広げたい」という動機がある人向けの選択肢です。

③ 副業(看護師資格を活かした単発バイト)

看護師免許があれば、単発の医療系バイトや非常勤として別の施設で働く選択肢があります。特に夜勤バイトは単価が高く、1回で2〜3万円になるケースもあります。

月1〜2回入るだけで、年間24〜72万円の上乗せになる計算です。本業の夜勤より条件がいい求人もあるため、探してみる価値はあります。

ただし、職場の就業規則で副業が禁止されていないか確認することと、体力的に無理をしないペース配分は必要です。

それでも今の職場では限界と感じたら

3つの方法を試しても「この職場では変わらない」と感じるなら、転職という選択肢も十分に現実的です。

転職先 収入面の特徴
別の病院(大学・公立) ボーナスが手厚い分、年収ベースで上がりやすい
美容クリニック 夜勤なしで同水準以上を狙える。インセンティブ次第でさらに上も
企業看護師 夜勤・残業なしで現職とほぼ同水準。ただしレア求人
訪問看護 事業所によってばらつきが大きい。インセンティブ制なら上積みあり

それぞれに向き・不向きがあるため、転職先の選び方については別記事で詳しく解説する予定です。

▼転職を考え始めた方はこちら
[内部リンク:看護師をやめたいと感じる7つの瞬間|辞める前に試したい選択肢]

まとめ|不満を感じたまま働き続けるより、一歩踏み出してみよう

この記事でお伝えしたことを最後に整理します。

  • 看護師の平均年収524万7,200円は手当込みの数字。基本給だけでは同年代と大差ない
  • 「安い」と感じる理由には、前残業のサービス残業化・申請しにくい文化・昇給の鈍さ・夜勤手当と負担のバランスなど、納得のいくものが並ぶ
  • 辞めずに収入を上げる現実的な方法は、夜勤を増やす・役職に就く・副業の3つ
  • それでも変わらないなら、転職という選択肢は十分にある

「給料が安い」という感覚はあなたの気のせいでも甘えでもなく、構造的な問題です。我慢し続ける前に、できることから一つ動いてみてください。

参考サイト

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